神戸大学大学院経営学研究科:神戸大学経営学部

強み・特色

1.神戸大学経営学部・経営学研究科の強み・特色

神戸大学経営学部・経営学研究科は、日本における経営学・商学の中核的研究教育拠点(COE)として、「学理と実際の調和」という建学の理念の下、神戸高等商業学校の伝統ある系譜を汲み、産学連携をとりわけ強く意識しつつ産業界をリードする人材の養成を手がけてきました。経営学という学問領域の特性もあり、研究者は企業等での最先端の事象を取り入れ実証研究を行い、産業界はその研究成果を企業活動に活用できるというように両者が一体化され、運用される工夫が着実に積み重ねられてきました。こうした学界と産業界の連携は、本研究科の目指す産業社会との相互協力と相互批判を通じて研究を進め、その成果を学内外で教育するとともに社会還元していくという「オープン・アカデミズム」という理念によって端的に表現されています。また、本研究科の教育活動は、研究科に蓄積された教員個々の研究活動の成果を学問的・理論的基礎とする「研究に基礎を置く教育(Research-based Education)」を基本としています。

教育面での強み・特色

【学士課程】

  • トップ・マネジメント講座
    昭和62(1987)年度以降、わが国の代表的な企業人を社会人講師として迎え産業界との連携を図った講義を展開しています。その効果としては、「現実の経営に根付いた経験とその背後にある経営の知識や知恵に触れるエキサイティングな経験」、「講師陣の中には神戸大学経営学ないしその前身校の卒業生が多く、ロール・モデルに触れる機会となる」などがあります。


  • 会計プロフェッショナル育成プログラム
    平成12(2000)年度に、在学中の公認会計士第2次試験または税理士試験合格を目指すとともに、職業会計人に要求される高度専門知識の習得を目的として開設しました。開設以来、公認会計士合格者数は定常的に全国10位内にあります。


  • エッセンシャル・プログラム
    ジェネラリストの養成という教育目標において、他学部開講の授業を履修することは、学生の見識を広める上で一定の効果が期待されます。経営学部では、キャンパスを同じくする法学部、経済学部が開講するほとんどの授業を履修可能としていますが、相互履修の推進を目的として、平成20(2008)年度より3学部がそれぞれ他学部生向けにエッセンシャル科目を提供しています。学生は、自身が所属する学部以外の2学部が提供するエッセンシャル科目を各2科目、計4科目修得することにより、プログラムの修了認定証を取得できます。

  • Kobe International Business Education and Research(KIBER)プログラム
    国際社会と文化を理解した、グローバルな社会環境で活躍できる経営人材を育成することを目的として平成23年(2011)年度に開始したプログラムで、交流協定を活用した1年間の留学と留学時に必要な英語でのコミュニケーションスキルについての授業(すべて英語で実施)を追加しつつ、4年間で学部を卒業できるようカリキュラムを整備しています。

  • 経営学部生向けセミナー「教授が語る研究の話会」
    授業の中で学ぶ知識だけでなく、知の創造の姿、大学のもうひとつの素顔を学生に知ってもらうことを目的として、平成22(2010)年度から開始したもので、経営学部教員が自分が行っている研究、自分が見つけた発見を語ります。何を見つけようとしているのか、何が分かったのかに加えて、どうやってそれを見つけようとしているのか、どうしてそれが発見できたかなど、研究の現場で起こる戦いを教員自らの言葉で語ります。自分達が授業で学ぶことの裏に潜むドラマを知ることで、今まで以上に興味を持って学習に取り組めるようになると期待されます。

  • 社会科学系英語イブニングコース
    このコースは、実績のある語学学校にキャンパス内の教室を提供し、学内で語学学校の授業を平日の夕方に受講できるというもので平成24(2012)年度から開始しました。授業は6人から8人の少人数クラスで語学力の習得状況に応じて3つのレベルにクラスを分け、毎週1回、全10回行われます。受講料は、語学学校で実施される場合より安価で提供しています。

【博士課程】

  • 体系的コースワーク
    博士課程の前期課程では、研究者としての基礎的な知識を修得するための第1群科目(特論)、体系的な研究に不可欠な方法論を修得するための第2群科目(方法論研究)、基礎科目である第1群から更に進んだ内容や分野横断的な内容、先端的な研究成果について講義を行う第3群科目(特殊研究)及び研究論文(修士論文)の作成指導を行う第6群科目(演習)を中心とするコースワークによる体系的な教育を行っています。学生にはカリキュラムの特性を十分に理解し、適切に科目履修できるよう、9つの代表的な研究分野について標準的な履修モデルを提示しています。

  • 達成すべき能力の段階的評価
    経営学研究科ではわが国における経営学系研究者の養成を重要な目的としていることから、研究者希望の学生に対しては基本的に前期課程(2年)と後期課程(3年)の5年一貫的教育プログラムを構成し、段階的にその能力を確認する仕組みを整えています。前期課程の修了に必要な単位を修得しただけでは後期課程への進学は認められず、第1群科目と第2群科目に対応した「総合学力試験」と呼ばれる試験に合格する必要があります。これは、学生が単位修得によって得た学力を、更に博士論文作成のために必要な水準にまで拡張する能力をもっているかどうかを判定するためで、従って単位修得のための試験よりも若干難易度が高めに設定されています。
    後期課程においては、論文作成セミナー、第2論文の作成、第2論文ワークショップ、博士論文仮審査、博士論文発表会という段階を設定し、研究者としての能力を着実に伸張させるとともにそれをチェックする体制を整えています。これらの仕組みにより、本学で学位を取得される方の質が保証されています。

  • Strategic Entrepreneurship and Sustainability Alliance Management Initiatives (SESAMI)プログラム
    共生の経営学(Sustainability Alliance Management)と創造の経営学(Strategic Entrepreneurship)が融合した戦略的共創経営という研究教育領域を定義し、新規事業を「創造」し、かつ「共生」を推進する能力を兼ね備えた戦略的経営の専門家(戦略的共創経営人材)を養成することを目的として平成25(2013)年度から開始したプログラムです。海外のジビネス系スクールの教員を多数招へいし、すべての授業を英語にて実施するとともに、国際展開企業と連携した実践的課題解決能力を育成するプロジェクト研究や海外大学と連携した海外実習等を通じて、実践に即した理論構築能力を養成しています。

  • 学習環境
    人文社会科学系では理系のように大型機器を使用して研究することは余りありません。その代わりに重要となってくるのが図書・雑誌等の文献です。神戸大学の社会科学系図書館は、和書約64万冊、洋書約71万冊を所蔵しており、わが国の社会科学系分野の図書館としては最高水準の蔵書数を誇っています。大学院生は書庫への立入りも認められているため、これらの知の集積に自由にアクセスすることが可能です。また、同図書館には全国で9つの国立大学附属図書館に設けられている「外国雑誌センター」があり、主として人文・社会科学系の外国雑誌を収集するセンターとして、現在約870種類の雑誌を所蔵しています。これ以外にも、神戸大学経済経営研究所が管理する経済経営研究所図書館や附属企業資料総合センター、国連寄託図書館などがあり、これらの施設が所蔵する図書や雑誌等についても、大学院生の利用が可能となっています。

【専門職学位課程】

  • 働きながら学ぶ
    経営学研究科では、全国の国立大学に先駆けて、平成元(1989)年度から社会人MBAプログラムを提供しており、平成15(2003)年度の専門職学位課程制度開始時から新たな学位課程として教育を実施しています。本プログラムでは、「働きながら学ぶ」、「研究に基礎をおく教育」、「プロジェクト方式」を特徴としており、企業等に現に働いていることを条件としています。「働きながら学ぶ」ことのメリットは、具体的な職場の問題を学術の分野に持ち込むことで、理論を応用しながらより深く考えられることにあります。また、多忙な社会人のニーズに応え、金曜日夜間と土曜日だけで1年半で修了することができるよう設計されています。金曜日の夜間は大阪都心部の梅田にあるサテライトオフィス「梅田インテリジェントラボラトリ」にて講義を行い、時間的余裕の少ない社会人に配慮しています。

  • プロジェクト方式
    「プロジェクト方式」は経営学研究科がMBAプログラム創設以来25年以上かけて編み出してきた教育方法で、産業界で解決すべき課題について、5ないし6名の学生からなるプロジェクトチームを編成し、学生相互間及び教授陣・学生間でお互いに知恵を出し合いながら、共同研究により解決策を探求するものです。異業種・異なる世代の学生同士によるディスカッションを通じて多様な視点、説得の技法など、理論と実務を融合させ専門知識を深化させ、適切な判断を下せる能力を磨く仕組みが取り入れられています。

  • 講義課目の抜本的改革
    神戸大学MBAでは、広く社会にMBAの価値を社会に伝えるため施策の一環として、文部科学省からの委託を受けてビジネス系大学院にとって共通的となるコアカリキュラム体系の在り方を検討し、全国のビジネス系大学院にそのモデルを提示しています。神戸大学MBAでは「ヒト」「モノ」「カネ」という経営の基本的要素を中心にコアとなる5科目を配置し、これに先に説明したプロジェクト科目とその他の専門科目(トピックスや最先端研究成果科目)を加えたカリキュラムを展開しています。また、提示しているモデルでは、授業において使用するテキストの指定(海外トップクラスMBAと同様のテキスト)、ケーススタディで取り扱う企業(国際展開企業中心)も明示し、科目名称の羅列ではなく、実効性のあるクオリティ・コントロールにまで言及している点が大きな特徴です。


  • 短期集中相互研修プログラム(Reciprocal Study Tour:RST)
    グローバルな観点から新規の多様な経営上の問題を把握できる人材の養成を目的として、英国のクランフィールド大学への短期交換研修制度を整備しています。この研修は「日英産業事情応用研究」として単位認定もされるもので、毎年6月にクランフィールド大学のMBA生が訪日し、神戸大学MBA生と共に神戸大学で講義の受講、日本企業の訪問、日本文化体験等を行い、翌年2月に神戸大学MBA生が訪英し、クランフィールド大学で講義の受講、英国企業の訪問、英国文化体験等を行います。これまで参加者から高い評価を得ているプログラムです。

  • 論文賞よる顕彰
    平成20(2008)年度より本研究科名誉教授の名を冠した「加護野忠男論文賞」を創設し、優れた論文を顕彰しています。本賞の創設により修士論文に学生が意欲をもって取り組むよう後押しするともに、授賞式に次年度の入学生も参加できる仕組みにすることで、入学後自分たちがどのようなレベルに到達しなければならないかを学ぶ機会にもなっています。

研究面での強み・特色

  • 経営学研究科は、ガバナンス、サプライチェーン、新規事業モデルなどの経営制度の研究教育の伝統的な強みを活かし、海外の大学や研究機関等との連携・交流を促進し、研究教育活動における経営学研究科の国際競争力を高めて、経営学に関する学術研究教育のグローバル・センター(GCOE: Global Center of Excellence)をめざしています。さらに、社会科学系分野の学際的理論研究を幅広く行う社会システムイノベーションセンターを活用し、その中の一分野としての経営学の基礎研究、臨床研究、臨床教育を行い、「学理と実際の調和(社会科学系学理と実際の相互作用によるネットワーク化)」の実現を目指しています。

  • 「学理と実際の調和」の体現として、現在、社会が抱える諸問題に関する研究に積極的に取り組んでおり、「景気低迷期の適切な組織行動を促す研究・教育プログラム」(文部科学省概算要求特別経費)や「グローバル・グリーンサプライチェーン(GGSC)プロジェクト」(同)、「アジア地域を含む低炭素型サプライチェーンの構築と制度化に関する研究」(環境省受託研究)の採択という結果に繋がっています。GGSCプロジェクトについては、その仕組みが優れていることから「社会システムイノベーションの総合的研究拠点形成」(文部科学省概算要求)として全学的に拡大して研究が進められています。

  • 研究活動の成果としては、著書や論文という形で公表されるのが一般的です。近年では特に、海外の学術誌や書籍への掲載が強く求められますが、経営学研究科ではその掲載数、掲載された教員の割合とも国公私立の経済系・経営系大学院の中でトップクラスとなっています(学術情報DB[EconLit及びBusiness Source Premier]に基づく調査結果)。さらに、学会の会長や理事を勤める教員が7割以上、学術雑誌の編集員・レフェリーを勤める件数が毎年教員数の倍以上となるなど、経営学系の学界における中心的な役割を果たしています。

  • 研究活動の結果は、「オープン・アカデミズム」の理念の下、著書や論文という形だけではなく、より分かりやすい形、より直接的な形でも社会に還元されています。具体的にはインターネットによる動画コンテンツの配信やメールマガジン「eureka」の発行などがありますが、大阪梅田のサテライトオフィス「梅田インテリジェントラボラトリ」において行っている「経営グッドプラクティスセミナー」(平成27年3月以降は「神戸大学MBA公開セミナー」に名称変更)は経営学研究科が行った最先端の研究発表の場として、毎回定員がすぐに埋まってしまうほどの人気コンテンツとなっています。


2.最近における特記事項

  • KIMERAプログラムの開設
    KIMERAプログラム(Kobe International Management Education and Research Accelerated Program)は、国際社会と文化を理解した、グローバルな社会環境で活躍できる高度な経営人材(国際ビジネスにおける即戦力となれる人材)を育成するプログラムです。5年一貫教育で、前半の2年半は日本語で一般教養と経営学を学び(その他に留学準備としての英語授業あり)、後半2年半は英語で経営学を学び、合計5年間で経営学の学士号と修士号が取得できるというものです。  KIMERAプログラムは5年間の加速度的(Accelerated)グローバル経営人材育成コースであり、神戸大学経営学部に入学した学生のほとんどが継続的に努力すれば修了できるようにデザインされています。

  • 初年次セミナーの導入
    平成28(2016)年度より、新入生に対する導入教育として初年時セミナーを導入しました。経営学の学び方(授業で何を学ぶか、自分でしなければならないことは何か、理解できたことを人に説明するとはどういうことか等)を理解し、高校までの「定まった学問成果を理解し、知識とすること」を大学での経営学の勉強と勘違いしないよう、「社会現象を理解するために、自らevidenceを集めて、evidenceに基づいて理解する汎用能力」を育成することを目的とした少人数教育を展開しています。

  • 文部科学省「先導的経営人材養成機能強化促進委託事業:経営系専門職大学院(ビジネス分野)におけるコアカリキュラム策定に関する調査研究」の受託(平成28(2016)年度)
    全国の経営系専門職大学院(ビジネス分野)(注:いわゆるMBA)の教育の質の向上、教育内容の可視化による社会的認知度の向上を図るため、経営系専門職大学院(ビジネス分野)で学ぶ全ての学生が習得すべきと考えられる学習内容、共通的な到達目標を定めたコアカリキュラムとそのモデルとなる教育プログラムの開発を目的とした事業を文部科学省が公募し、MBAとしての実績が豊富な神戸大学経営学研究科のMBAがこれを受託しました。

3.社会貢献

  • 経営学研究科は、大学としての主体性・自律性を保ちながら、教育研究活動において産業界との相互交流を促進し、批判、研鑽しあい、アカデミズムと産業界がともに発展し、その研究成果を、学内・学外における教育活動のみならず、広く社会一般に公開しています。その典型的なものは研究面の強み・特色で既述したグッドプラクティスセミナー(平成27年3月以降は「神戸大学MBA公開セミナー」に名称変更)ですが、その他にも、学界人・ビジネスパーソンを構成員としているNPO法人現代経営学研究所(RIAM)との共催によるシンポジウムやワークショップを年に5、6回開催するなど情報発信に努めています。

  • 研究の成果は、産業界や社会一般のほかに公的機関にも広く還元されており、大きな貢献を果たしています。具体的には、国や地方公共団体の各種委員会や国家試験関係の委員会、政府系研究機関の研究会等に参加している教員が増えています。


  • また、研究の成果や蓄積した知見を基にした主張や発言は、新聞・雑誌等のメディアにおいて、多数取り上げられています。


4.各界で活躍している卒業生

経営学部・経営学研究科の卒業生は、学界に留まらず政治・経済の多方面で活躍しています。