神戸大学大学院経営学研究科:神戸大学経営学部

経営学特別学修プログラム

平成28年度より、神戸大学経営学部1年生を対象として経営学特別学修プログラムを開設しました。このプログラムは、神戸大学経営学部での経営学の学修成果を、講義で学んで「経営学を知っている」から、「経営学で経営が分かる」へ高めるために、1年3Qから2年修了までの1年半にわたり、経営学部一般講義とは別に、特別な少人数演習教育を行うものです。経営学で経営が分かる能力を身につけるには、ハードな学修と自己研鑽が求められます。経営学を社会生活に活かすことができるように経営学を学ぼうとする、意欲のある学生に、その学修機会を提供します。

プログラムの目的(何ができるようになるか)

こんなモノ、サービスがあったらうれしい、助かる、困らなくてすむという人々の願いに応え、それを実際に作り、届けるには、上手な経営が必要です。その経営という現象をどうすれば理解できるかについての、研究を通じて見出された「経営はこう分かる」を集めたものが経営学です。皆さんは神戸大学経営学部の講義を通じてその学問成果を学ぶことができますが、それを学んで知れば、経営の現場でそれを実践できるかというと、そうではありません。それには、

が必要です。なぜなら、経営学の成果を知っているだけでは、自分が直面する問題(①)を理解するのに経営学のどの成果(③)によって考えれば良いのか、なぜその成果で考えれば良いのかが分かりません。また、それが分かったとしても、その問題を経営学を用いて考えるのに必要な思考力(②)がなければ、どう考えて良いのかが分かりません。その結果、多くの人が、せっかく学んだ経営学はさておき、自分が直面する問題(①)を自分の頭で(②)考えようとします。そして、その時の自分の頭(②)とは、自分の仕事上の経験や直感にすぎません。それでは、経営学を社会に活かすことはできません。経営学特別学修プログラムは、経営学の成果を教科書の世界から取り出して自分の頭の一部にし、それを運用する思考力を備えて、実際の経営現象を自分の頭を動かして理解できるようにする、教育プログラムです。

育成する能力(どうすればできるようになるか)

経営学で経営が分かるようになるには、経営学の知識に加えて、大きく2つの能力が必要です。

経営学の成果を現実と対応付けることができる、その深い理解(A)が必要である、というのは次のような理由です。経営学の成果は、現実の経営の事例や事実の単なる寄せ集めではありません。多くの事実の観察・研究を通して、それらの事実に共通する規則性を発見して、「これらの事実はみなこのように理解できる」と言えるようになったものを、規則性の描写、規則性を引き起こすプロセスの描写として述べたものです。つまり、学術用語・概念を用いた普遍的描写です。その描写を学んで、現実の経営を理解できることは、この「多くの事実の普遍化作業」の逆作業ができる、ということに他なりません。それができるには、そもそもの普遍化作業を理解する必要があります。それが、経営学の成果の深い理解ということです。この経営学の成果の深い理解は、経営学で経営が分かる力である、①現実の問題を②自分の頭で③経営学を用いて考える力のうち、①現実の問題を③経営学を用いて考えることを可能にします。

経営学の成果を運用するのに思考能力(B)の育成が必要である、というのには3つの理由があります。

  1. 経営学の成果を生み出すには、多くの事実の中に潜む規則性を見出す「事実の理解原理」が必要となります。経営学の成果を深く理解する(A)には、経営学が用いるこの「事実の理解原理」を理解しなければなりません。
  2. 経営学がさまざまな事実に潜む規則性を引き起こすプロセスを描写する時には、モデルを用いて描写します。そして、それは、しばしば、数学を用いて描写されます。したがって、経営学の成果を深く理解する(A)には、数学モデルを自ら運用する能力が必要です。
  3. 経営学がさまざまな事実に潜む規則性を発見するには、現実世界を注意深く観察し、観察結果をデータとして分析します。したがって、経営学の成果を深く理解する(A)には、経営現象をデータで理解する能力が必要です。

これらの3つの能力は、通常の高校までの社会科教育ではその育成が行われることがない能力で、経営学の成果を深く理解し、その成果を経営の現実理解で運用するには、大学での学びを通じてこの3つの能力を身につけなければなりません。この3つの能力を身につけることは、経営学で経営が分かる力である、①現実の問題を②自分の頭で③経営学を用いて考える力のうち、②自分の頭で考えることを可能にします。

カリキュラム体系

経営学特別学修プログラムは、それが育成しようとする大きく2つの能力(AとB)を、次の体系によって育成します。

経営学特別学修プログラムに参加する人は、まず、1年2Qのプログラム導入科目「経営学入門演習」を履修してもらいます。「経営学入門演習」は、「学問によって現実を理解する、理解できる」とはどういうことかを、(2クラス並行開講する、1クラス)40名の少人数演習授業で、これから学ぶことになる経営学の知識を前提することなく、主に高校社会科の学修成果に依拠して理解できるようにします。

経営学特別学修プログラムは、1年3Qから始まり、2年修了までの1年半にわたり、6つあるクォーターそれぞれに1科目ずつ、合計6科目を開講します。1クラス30名の少人数演習授業で、「経営の理論と実践」「経営の理論分析」の2つの科目群(各科目群に、それぞれ3科目)で、経営学特別学修プログラムが目指す2つの能力を育成します。

「経営の理論と実践」は1年生で学ぶ、経営学の最も基本的な成果について、その深い理解(A)を身につける科目です。経営という複雑な現象を構成する大きな3つの場面である組織・管理、会計、市場のそれぞれについて、1年生必修科目「経営学基礎論」「会計学基礎論」「市場システム基礎論」で講義される内容の理解に基づいて、その理解を深めることで、組織・管理、会計、市場のそれぞれの現場で起こる具体的な事柄が、教科書に書かれているそのやり方で考えると理解できるということが分かるようにします。「経営の理論と実践」の科目番号1が組織・管理、2が会計、3が市場に、それぞれ対応します。

「経営の理論分析」は、経営学の成果を運用するのに必要となる思考能力(B)を育成します。「経営の理論分析1」は、1年生向け全学共通科目「微分積分入門」「線形代数入門」と経営学部選択科目「経営数学」で学ぶ数学の理解に基づいて、経営学が用いる「事実の理解原理」の重要な1つである最適化の数学を理解し、それを自ら運用できる能力を育成します。「経営の理論分析2」は、「経営の理論分析1」の学修成果を応用しながら、経営を数学モデルで考える能力を育成します。「経営の理論分析3」は、経営学部選択科目「経営統計」で学ぶ統計学の理解に基づいて、経営をデータで理解する能力を育成します。

平成30年度担当教員(教員名に続く括弧内は、その教員の専門分野/専門科目)

「経営学入門演習」:正司健一(交通経済)、末廣英生(ゲーム理論)
「経営の理論と実践」:1 松嶋登(経営学基礎論)2 鈴木一水(税務会計) 3 善如悠介(産業組織論/ビジネス・エコノミクス)
「経営の理論分析」:1 安部浩次(決定分析)2 末廣英生(ゲーム理論)・宮原泰之(組織と情報) 3 後藤雅敏(会計学基礎論)・畠田敬(証券市場)

参加方法

経営学特別学修プログラムに参加するには、まず、その導入科目である「経営学入門演習」(1年2Q)を履修し、修了しなければなりません。履修応募者が2クラスの定員合計80人を超過した場合は、「初年次セミナー」(1年1Q)の課題レポートの成績によって選抜します。

経営学特別プログラムへの参加申請は、1年2Qの「経営学入門演習」の最後で行います。参加応募者が定員30名を超過した場合は、参加申請書に表れた学修意欲とそれまでの成績を総合して選抜します。

ニュース

  • 2018年4月20日:
    神戸大学経営学部H28-29年度経営学特別学修プログラム修了者の修了証書授与式が行われました。ニュースはこちらをご覧ください。