2025年8月19日教育活動

帝國製薬株式会社 代表取締役社長 藤岡 実佐子氏ご登壇

扶桑化学工業株式会社および帝國製薬株式会社の経営関係者をお招きし、「金融機関のウェルスマネジメント戦略とファミリービジネス」においてご講演いただきました。両社はいずれも医薬品事業を中心に展開する中堅ファミリー企業であり、講演ではその事業戦略や資本構成の選択、そして企業理念に至るまで、幅広く深いお話を伺うことができました。
講演ではまず、痛み・炎症領域における粘塗剤の進化(パップ剤からテープ剤への移行)や、「オーソライズド・ジェネリック(Authorized Generic)」に関する先進的な取り組みについて語られました。さらに、2031年ビジョンに向けて、既存製品の改良・多角化にとどまらず、新たな市場セグメントへの挑戦や、薬局チェーン式販売といった革新的な販売モデルの展開に至るまで、変化する市場に適応しながら進化を遂げている様子が紹介されました。
講義の中では、扶桑化学と帝國製薬というファミリー企業が、それぞれ上場企業/非上場企業という異なる立場を取りながら、いかに補完的な関係を築いているかという点にも触れられました。たとえば、扶桑化学は上場企業としての知名度や資本市場との対峙を通じて人材を確保し、帝國製薬は未上場企業としての柔軟性と求心力を活かしながら、10年、100年先を見据えた経営に取り組んでいます。異なる選択をした2社がグループ内で補完関係を形成している姿勢に、ファミリービジネスの多様性と奥深さを実感していました。
また、「選択と集中」「独自性の維持」「リスク分散」などの理念が紹介され、いずれも短期的な収益ではなく、中長期的な価値創出を重視するファミリービジネスの意思決定に深く根ざしていることが印象的でした。中でも、「人は血液のために生きているわけではない」という象徴的な表現とともに、利益を目的とせず、社会的価値の創出を企業の本質とするという姿勢が語られた場面では、多くの受講生が強くうなずいていました。
製品開発の現場においても、「世の中の利益に貢献する」という創業来の視座が脈々と受け継がれており、講義全体を通じて、理念と戦略の一貫性、そして社会に対する責任ある姿勢が感じられる内容となりました。目先の業績にとらわれることなく、長期的な視野で事業を育て、社会に価値を提供し続けるファミリービジネスの真髄を体感できた、非常に濃密で学びの深い講義でした。


2024年10月23日(水)

当日の様子
当日の様子

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