2025年8月21日教育活動
公益財団法人德川記念財団 德川家広氏ご登壇
公益財団法人德川記念財団(以下、德川財団)の理事長である德川家広氏が、「金融機関のウェルスマネジメント戦略とファミリービジネス(MUFGウェルスマネジメント寄附講義)」にゲストスピーカーとして登壇されました。德川氏は、德川宗家第19代にあたる人物であり、江戸幕府を開いた徳川家康の直系の子孫として、現在は家督を継承されています。
講義では、江戸時代における経済や文化の発展、德川宗家における家督承継の歴史、さらには現代におけるファミリーの在り方に至るまで、幅広いテーマについて多角的にお話しいただきました。学生たちは、普段は経営学という枠組みの中ではあまり触れることのない歴史的・文化的な視点からファミリービジネスを見つめ直す貴重な機会となりました。
特に印象的だったのは、3代将軍・徳川家光によって1651年に改築された上野東照宮の唐門(国指定重要文化財)にまつわる「昇り龍」の逸話でした。「偉大な人物ほど頭を垂れて他者を尊重する」という思想が込められた彫刻で、龍の頭が下を向いている姿こそが「昇り龍」とされます。マネジメント層の学生たちにとっても、謙虚さとリーダーシップの本質について深い示唆を与える内容となりました。
また、アダム・スミスの『国富論』を引き合いに、富の成長には競争だけでなく協力が不可欠であるという視点は、徳川家康の遺言に見られる「富や権力を独占せず、民の幸せを第一とする」という思想とも共鳴するものであり、長期にわたる国家の安定と発展を支えた背景が丁寧に語られました。
今回の講義は、歴史的背景とともに語られる德川宗家の価値観を通して、ファミリービジネスの本質やその持続可能性について再考する機会となり、多くの受講者にとって視野の広がる大変有意義な時間となりました。
2025年5月10日(土)
