知的資産の会計


著者名 古賀智敏
タイトル 知的資産の会計
出版社 東洋経済新報社 2005年9月
価格 3800円 税別

書評

本書『知的資産の会計』は、 21 世紀の新たな知識創造化社会に対応したナレッジ型会計はいかにあるべきかを理論的、制度的かつ実証的な側面から総合的・体系的に考察し、新たな会計の理論と制度の構築に向けての 1 つの方向性を提示しようとするものである。

周知のように、世界の経済基盤は、いまや産業経済から知識創造経済へと大きく移行しつつある。このような経済基盤の変化を受けて、特許権やブランド、技術、ノウハウといった知的資産をいかに創造・活用するかが、企業の競争優位性を高めるとともに、財の効率的な配分を促進するためにも不可欠の課題となった。しかしながら、知的資産が大きく台頭し注目されるようになったのは、ごく近年、 1990 年代以降のことであり、その体系的研究はいま着手され始めたにすぎない。

本書は、このような背景のもとで、主要な諸外国の研究動向を踏まえつつ、知的資産という極めて難解ではあるが、大きな潜在的発展可能性を有する新しい研究領域に焦点を置き、その認識・測定の理論的解明とわが国独自の開示制度の制度的基盤の確立に向けて幅広く、かつ、体系的に究明することによって、企業のナレッジマネジメントを促進することを目指すものである。

目次

第1部 知的資産会計の生成基盤
  第1章 知的資産会計の対象と視点
  第2章 知的資産会計の生成基盤
  第3章 ナレッジ型経済と知的資産マネジメント

第2部 知的資産会計の理論的枠組み
  第4章 知的資産会計の論点と課題
  第5章 知的資産の資産性と認識可能性
  第6章 知的資産の評価と公正価値会計
  第7章 ブランドの認識と評価
  第8章 知的資産とナレッジ型会計のゆくえ

第3部 知的資産の戦略的利用と資金調達
  第9章 知的資産の戦略的利用と金融機関の資金供給スキームの枠組み
  第10章 知的財産権と担保融資の構造
  第11章 ベンチャー・キャピタルと知的資産情報の有用性

第4部 知的資産のレポーティングと知的資産報告書
  第12章 知的資産情報の拡充化と知的資産報告書
  第13章 知的資産のマネジメントとレポーティング
  第14章 知的資産のレポーティングと知的資産報告書
  第15章 知的資産のレポーティングと知的財産報告書

第5部 知的資産のマネジメントと測定・開示
  第16章 未来価値創造と知的資産報告書
  第17章 無形財と新測定アプローチ
  第18章 ハイテク産業と知的資産レポーティング