財務会計講義[第9版]


著者名 桜井久勝
タイトル 財務会計講義[第9版]
出版社 中央経済社 2008年2月
価格 4100円 税別

書評

近年、日本の会計制度はめまぐるしく改正を重ねてきました。なかでも2006年から施行されている会社法、および従来の証券取引法を改編して 2008年4月から全面適用となった金融商品取引法は、企業の利益測定と財務報告に大きな変革をもたらしました。着々と進行する金融ビッグバンのもと、投資家に自己責任を求める前提として、企業の実態を的確に表す透明度の高い財務諸表の公開を促進すべく、会計基準の整備がはかられてきたのです。また会計基準の国際的な統合をめざして進行するグローバリズムに適用するための変革も精力的に推進されています。そこで本書も、これらの新展開を織り込んで最新の財務会計を解説すべく、旧版を大幅に改訂して第9版としました。今回の改訂にあたって配慮した事項は次のとおりです。

第1に、従来の証券取引法とその周辺法規を統合して新設された金融商品取引法に沿って、上場会社などのディスクロージャー制度の解説を改めました。なかでも半期報告書制度を発展的に解消して導入された四半期財務諸表の公表制度は重要です。

第2 は、旧版以後に制定された企業会計基準委員会の会計基準第12~14号の内容を織り込んだことです。新設された四半期財務諸表の作成と開示の基準(12 号)、ファイナンス・リースのすべてに売買処理を求めるべく改訂されたリース会計基準(13号)、および工事進行基準を原則的処理とする工事契約の会計基準(15号)が、その主要な内容です。

第3に、課税所得計算における固定資産の減価償却が残存価額を実質的にゼロとして実施されるようになったことに対応して、これが財務会計でも普及すると考え、税務上の新しい減価償却計算を解説しました。

本書は、著者が神戸大学で開講する財務会計の講義用のテキストとして出版したものですが、企業会計を細部まで体系的に理解しようとするビジネスマンにも有益です。また公認会計士・税理士・証券アナリストなど、各種の資格試験の受験用参考書としても役立つように配慮しています。

目次

第1章 財務会計の機能と制度
第2章 利益計算の仕組み
第3章 会計理論と会計基準
第4章 利益計算と資産評価の基本原則
第5章 現金預金と有価証券
第6章 売上高と売上債権
第7章 棚卸資産と売上原価
第8章 有形固定資産と減価償却
第9章 無形固定資産と繰延資産
第10章 負債
第11章 株主資本と純資産
第12章 財務諸表の作成と公開
第13章 連結財務諸表
第14章 外貨建取引等の換算