1からの商品企画

著者名 西川英彦、廣田章光 編著、栗木契(第8章)著
タイトル 1からの商品企画
出版社 碩学舎  2012年2月
価格 2400円 税別

書評

商品企画は、経営学を学んだ大学生が、会社に入ってやってみたいと考える、あこがれの仕事の1つといえるでしょう。TVや雑誌などでは、連日のように、新しいヒット商品の話題が紹介されています。また、大学生が参加する商品企画コンペなどの催しも増えています。しかし商品企画は、やってみると意外に難しく、多くの勉強と経験が必要なことを思い知らされることになります。

商品企画をうまく行うためには、さまざまな理論や手法を身につける必要があります。本書では、これらの理論や手法を、実践的な商品企画のストーリーに関連づけて提示していきます。商品企画の入門書は世の中に数多く存在しますが、本書には以下の特徴があります。

第1に本書は、ケースと関連づけて理論や手法を提示します。各章では、身近なヒット商品を取り上げ、その商品企画のプロセスと関連づけて、テーマとなる理論や手法の意義や活用の仕方を具体的に解説していきます。あまり表に出てこない、商品企画の実際が、理論や手法と関連づけて具体的に描かれているのが本書の特徴です。

第2に本書は、基礎から先端までのさまざまな理論や手法をバランスよく収録しています。たとえば市場調査についていえば、本書では、インタビュー法やコンセプト・テストなどのよく知られている手法に加えて、潜在的なニーズ探索に有効な手法として近年注目を集めている、観察法やリード・ユーザー法なども紹介しています。こうした幅広い理論や手法を、商品企画の実際と関連づけて学ぶことができるのが本書の特徴です。

第3に本書は、理論を実践に活かすことを強く意識した内容となっています。本書では、上述したような先端的な理論や手法を紹介する一方で、実務に欠かせない基礎的な理論や手法をバランスよく提示するとともに、企画書作成の章を設けるなど、実践への着地を意識した構成を採用しています。この複眼的なアプローチを高度な水準で実現するために、実務経験者と若手研究者をバランスよく執筆陣に配しているのも本書の特徴です。

    目次

      第Ⅰ部 探索的調査
      第1章 商品企画プロセス
      第2章 インタビュー法
      第3章 観察法
      第4章 リード・ユーザー法
      第Ⅱ部 コンセプトデザイン
      第5章 アイデア創出
      第6章 コンセプト開発
      第7章 プロトタイピング
      第Ⅲ部 検証的調査
      第8章 市場規模の確認
      第9章 競合・技術の確認
      第10章 顧客ニーズの確認
      第Ⅳ部 企画書作成
      第11章 販売提案
      第12章 価格提案
      第13章 チャネル提案
      第14章 企画書作成
      第15章 プレゼンテーション