財務会計講義(第14版)

著者名 桜井久勝 著
タイトル 財務会計講義(第14版)
出版社 中央経済社 2013年3月
価格 3800円 税別

書評

会計基準の最新動向を織り込んで、今春も版を更新しました。

近年、日本の会計制度はめまぐるしく改正を重ねてきました。着々と進行してきた金融ビッグバンのもと、投資家に自己責任を求める前提として、企業の実態を的確に表す透明度の高い財務諸表の公開を促進すべく、会計基準の整備がはかられてきたのです。また会計基準の国際的な統合をめざして進行するグローバリズムに適応するための変革も精力的に推進されています。

そこで本書も、これらの新展開を織り込んで最新の財務会計を解説すべく、旧版を更新して第14版としました。この版で解説に織り込まれている新しい会計基準や周辺の関連法規は次のとおりです。

第1に、個別財務諸表では包括利益を表示しない取扱い(企業会計基準第25号改正)、および退職給付に関する会計基準の再編(同・第26号)を織り込みました。これらは、旧版で公開草案として解説していた内容が確定基準となったことに対応した更新です。
第2に、最終的な確定基準に向けて審議の途上にあるが、公開草案によって将来の方向性が明示されているトピックスも、旧版に引き続いて解説の範囲に含めています。1.企業結合時に外部専門家に支払った報酬等の費用処理、2.連結会計における経済的単一体説と整合した会計処理(支配獲得後の持株売買の資本取引処理、少数株主損益の表示)や、3.資産・負債の公正価値の測定と開示がそれです。

第3に、2012年4月以降開始の年度から、法人税の税率変更に起因して法定実効税率が38%へと変化したことに対応して、税効果会計の設例でも38%を用いた解説を行っています。

本書は、著者が神戸大学で開講する財務会計の講義用のテキストとして出版したものですが、企業会計を細部まで体系的に理解しようとするビジネスマンにも有益です。また公認会計士・税理士・証券アナリストなど、各種の資格試験の受験用参考書としても役立つように配慮しています。

    目次
    第1章 財務会計の機能と制度
    第2章 利益計算の仕組み
    第3章 会計理論と会計基準
    第4章 利益測定と資産評価の基礎概念
    第5章 現金預金と有価証券
    第6章 売上高と売上債権
    第7章 棚卸資産と売上原価
    第8章 有形固定資産と減価償却
    第9章 無形固定資産と繰延資産
    第10章 負債
    第11章 株主資本と純資産
    第12章 財務諸表の作成と公開
    第13章 連結財務諸表
    第14章 外貨建取引等の換算