製造業のサービス化戦略

著者名 西岡 健一(著)南 知惠子(著)
タイトル 『製造業のサービス化戦略』
出版社 中央経済社 2017年10月
価格 2592円 税込

紹介

「技術を製品にのみ閉じ込める時代は終わった」というのが本書のメッセージである。製造業のサービス化とは、サービス部門を独立させ顧客サービスを強化することを意味しない。むしろものづくりのあり方自体の変容を迫るものである。

製造業において、デジタル技術の革新にともない、新たなビジネス論理とビジネスシステムが求められることは言うまでもない。製造業のサービス化は、技術革新により、顧客に導入された後も製品のパフォーマンスを上げ、顧客のビジネスをサポートし、顧客価値を作り出していくことを志向する。

ものづくりとICT(情報通信技術)の融合を通して、製造業の持つ固有技術によるソリューションと持続可能性を実現することが必須となってきている。このことは、特定業界での革新的技術によるイノベーションではなく、広範囲な技術とそれをビジネスに落とし込む仕組みを変える、業界の垣根を越えたイノベーションが起こりつつあることが強調される。

本書は、製造業のサービス化議論を、製品を主体とするサービスから、顧客対応型サービスへの発展、パフォーマンスベース・サービス、PSS等において展開し、理論的な背景を明らかにした後、日本の製造業へのアンケート調査(2012年と2017年度実施)をもとに、製造業のサービス化への誘因と媒介要因、さらに業績との関連について実証研究を行った結果を示している。加えて、AIをはじめとする新世代ICTと製造業のサービス化との関連について論じ、リアルタイム化、可視化、最適化等の観点から、アグリICT等の複数事例の分析を行っている。さらに製造業のサービス化移行モデルにおける課題と戦略パターンを提言し、製造業のサービス化が今後どのように進行するのか、戦略的にどのようなビジネスシステムを構築すべきか、提言を行っている。

 

【目次】

序章 製造業のサービス化とは何か
第1章 製造業のサービス化議論の前提
第2章 製造業のサービス化議論
第3章 製造業のサービス化の実態と戦略
第4章 製造業のサービス化と情報通信サービス
第5章 新世代ICTと製造業のサービス化
第6章 製造業のサービス化移行モデルと促進要因
第7章 新たなビジネス構造と製造業の挑戦
終章 製造業のサービス化への挑戦

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