近代会計史入門(第2版)

 

著者名 中野常男、清水泰洋(編著)
タイトル 『近代会計史入門(第2版)』
出版社 同文館出版 2019年3月
価格 3780円 税込

紹介

本書は、会計の歴史について、特に13~14世紀から20世紀初頭に至るまでの歴史を中心に取り上げ、複数の章に分けて点描したものである。

専門分野として形成期から実務主導型の性格を色濃く有している「会計」において、「会計の歴史を学ぶことが会計人にとって何の役に立つのか」という問いに答えることは、困難である。しかし、会計史の知識は、会計人にとって、その専門的知識に対置されるべき一般的知識としての「教養」であり、「コモン・センス」ということになろう。会計史は、「会計」という人間の営む行為そのもののアイデンティティを時間軸に沿って再確認することであり、そのことによって、未来への展望を承けて過去を再解釈することを可能とするだけではなく、現在(と未来)の問題を考察するための視点を提供するものと考えられる。少なくとも歴史的展望は、例えば、現代の会計を巡る諸問題の特殊性・特異性を明らかにすることにより、われわれの偏った見方を矯正してくれるものとなろう。

第2版においては、旧稿について内容を点検・改訂するとともに、新たに第II部に財務諸表の歴史にかかわる章(第12章)を追加した。多くの方にはなじみのない分野ではあろうが、一度手に取って、会計の歴史とは単に技術の歴史のみならず、その背後にある経済・社会の歴史でもあることを感じていただければ幸いである。

【目次】

序章 「会計」の起源と複式簿記の誕生
第Ⅰ部 簿記の時代 -複式簿記の伝播と近代化-
第1章 フランスの簿記事情と会計規定の成立・展開 -イタリア式簿記の導入以前からナポレオン商法まで-
第2章 ドイツ式簿記とイタリア式簿記 -フッガー家の会計制度と16~19世紀のドイツ簿記書-
第3章 ネーデルラント会計史の現代的意義 -ステヴィンの「簿記論」とオランダ東インド会社-
第4章 15~19世紀のイギリスの簿記事情 -複式簿記の伝播とその漸次的普及-
第5章 アメリカへの複式簿記の移入と簿記理論の体系化 -理論的教示、そして会計学への展開-
第6章 和式帳合と複式簿記の輸入 -江戸時代から明治時代にかけて-
第II部 簿記から会計へ -株式会社と近代会計の形成-
第7章 株式会社会計の起源 -イギリス東インド会社と南海会社-
第8章 株式会社制度確立期の財務報告実務 -19世紀イギリスにおける鉄道会社の会計実務-
第9章 株式会社と管理会計の生成 -鉄道業から製造業へ-
第10章 株式会社と会計専門職業 -19世紀イギリスにおける会社法制の整備と会計専門職業の展開-
第11章 政府・自治体と公会計 -アメリカ公会計の起源と特徴-
第12章 近代的財務諸表の発展 -誘導法に基づく貸借対照表と損益計算書の出現と展開-
第13章 会計理論の生成と展開 -世紀転換期から1920年代のアメリカにおける学説史的展開-
結章 現代会計へのプロローグ

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