デジタルエコノミーと経営の未来

 

著者名 三品和広、山口重樹(著)
タイトル 『デジタルエコノミーと経営の未来』
出版社 東洋経済新報社 2019年6月
価格 1620円 税込

紹介

2015年にDBJの関西支店長と組んで『センサーネット構想』という本を出しましたが、同系列の第二弾が出ました。今回はNTT Dataで産業エリアを統括していらっしゃる山口副社長との共著本になります。1990年代の前半にトヨタ自動車のケンタッキー工場に通い詰めていたときは、ハーバード大学より知的刺激に満ち溢れた自動車工場があることに驚きましたが、今回の執筆過程では、あのときと同じ知的興奮を覚えることになりました。およそ大学に引きこもっているより経営者に会って話をする方が有意義な時間を過ごせるものですが、伸びているフィールドで日々新たな挑戦に身を投じている経営者は格が違います。

私が書き下ろした前半の二章では、過去の「革命」を整理すると同時に、それと絡めて経営戦略における「事業立地」の概念を従来以上に深く説明してみました。「ドッグイヤー」という言葉が象徴するように、現代を変化のスピードが速い時代と特徴付ける人は後を絶ちませんが、冗談も程々にしてほしいところです。蒸気機関、石油精製、電気、無線などなど、インターネット以上に速い変化をもたらした技術の革新は、過去にいくつもありました。そこで起きた優勝劣敗の歴史を知らないままデジタルエコノミーに突入する人は、それこそビスマルクが言う「愚者」です。「賢者」として5GやAIの時代を迎えたい方は、山口さんが担当された後半部分も含めて、ヒントの宝庫として活用してみてください。

この本には、隠れたアジェンダもあります。それが「実学」です。私独自の戦略論を浸透させるにはまだまだ研究の積み重ねと時間を要しますが、すでに「事業立地」をキーワードに戦略を構築する企業が何社も出てきました。今回の本は、その流れを加速させることになると期待しています。研究者を相手に研究報告を売るのではなく、経営者を相手に思考のトリガーを売ることに関心のある方は、ぜひ一読してみてください。研究と実業の交点が、手に取るようにわかると思います。

 

【目次】

第1章 誤解だらけの「革命」論
第2章 誤解だらけの「戦略」論
第3章 デジタルウィズダムが創る新たな経済
第4章 エコノミー・オブ・ウィズダム時代のビジネス進化
第5章 対談 未来を読む