財務会計・入門(第4版)


著者名 桜井久勝 須田一幸
タイトル 財務会計・入門(第4版)
出版社 有斐閣 2006年4月
価格 1800円 税別

書評

本書は、企業の財務会計を初めて学ぼうとする大学生や、財務会計の概要を基礎から独学しようとするビジネスマンなどを読者として想定した、財務会計の入門書です。

現代の社会で企業の影響力が増大するにつれ、人々は自己の利益を守って企業と賢くつきあっていくために、企業の動向に強い関心をもち、企業に関する情報を必要としています。そのような情報は多くの源泉から入手できますが、企業活動の経済的側面について総合的な知識を得るために最も優れた情報源泉は、企業の財務会計が生み出す会計情報です。本書は、企業の財務会計が、どのようにして企業活動の実態を会計情報へと描き出すのか、また人々はその情報をどのように利用して企業の状況を知ればよいかを総合的に解説しています。

したがって本書は、大学の経営学部や商学部で会計学を専門的に学習しようとする人々だけでなく、経済学部や法学部など幅広い分野の学生が一般教養として会計学にふれるためのテキストとしても適しています。また学生にとどまらず、ビジネスマンはもとより、企業活動に関心をもつ社会人の知的好奇心にも応えたいというのが著者の願いです。

このため本書には次の5つの特徴をもたせています。第1に、財務諸表の項目別ではなく、企業の設立・生産・販売・設備投資など、企業が営む活動ごとに区分して、それが決算書に集約されるプロセスを解説しています。第2に、複式簿記の仕訳ではなく、図表を使って説明しました。第3に、連結決算や外貨建取引など、従来の入門書で省略されてきたトピックスも取り上げました。第4に、決算書の作成プロセスだけでなく、利用方法も解説しています。第5に、各項目の説明に際しては、可能な限り現実の企業データを活用することにより、実感をもって読み進められるようにしました。

本書は、1998年の初版刊行以来、財務会計の入門書として好評を得てきました。第4版では、2006年5月施行の会社法の新制度に適合させるために全面改訂しています。

目次

第1章 会計の種類と役割: 財務会計の位置づけ
第2章 財務会計のシステムと基本原則: 利益計算と資産評価のルール
第3章 企業の設立と資金調達: 必要な資金をどう調達するか
第4章 仕入・生産活動: 営業活動のスタートは仕入と生産
第5章 販売活動: 売上の測定と代金回収
第6章 設備投資と研究開発: 有形固定資産と無形固定資産
第7章 資金の管理と運用: 本業をサポートする資金運用活動
第8章 国際活動: 外貨表示額を日本円に換算する
第9章 税金と配当: 確定決算主義と剰余金の配当
第10章 財務諸表の作成と公開: 会計情報の内容と意味
第11章 企業集団の財務報告: グループ全体を総合した情報
第12章 財務諸表による経営分析: 会計情報の利用法

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