会社の元気は人事がつくる -企業変革を生み出すHRM-


会社の元気は人事がつくる  −企業変革を生み出すHRM− カバー写真
教官名 金井 壽宏 教授
タイトル 会社の元気は人事がつくる 
−企業変革を生み出すHRM−
出版社 日本経団連出版 
2002年11月
価格 1600円 税別

書評

 神戸大学の社会人大学院MBAコースでは、専門大学院になって初年度にあたる本年度 の後期は、HRR(人事測定研究所)の取締役の二村英幸さんに、人事アセスメント論の 講義をしていただいています。幕開きの年度を飾る特別な講義で、わたしも、2回の例外を除き、毎回のセッションをごいっしょさせていただいています。毎回のセッションで、一見するとテクニカルな人事アセスメントの話が、いかに深く、経営の判断と結びついているのかに気付かされてきました。

 わたしが、一橋大学の守島さん、南山大学の高橋さんという、もっとも敬意を払い大切に思っている研究仲間と書かせていただいた、上記の本でも、人事と戦略の結びつきを考えるヒントを模索しました。人材マネジメントがつまるところ、いかに会社全体の方向付け、組織のケイパビリティや経営幹部の育成やリーダーシップ開発・キャリア発達と連関しているかを、コンピテンシー、成果主義、人材スペック、仕事のなかのスピリチュアリティ、360度フィードバックなどのトピックのなかに、探ってみました。

 人事部は、会社やそこで働くひとをいじめたり、元気を殺いだりするために、存在するわけではありません。仮に今そうなっている風に見える会社でも、それはけっして本来の姿ではありません。元気の素を築き、会社の適応力につながっていく戦略的人的資源管理システム(SHRMシステム)を思考、議論、実験しながら構築していく一助となる概念やアイデア、研究を、このコンパクトな本のなかに散りばめました。そのような問題意識をもつひとに、少しでも役立てば幸いです。