The Panasonic Way


著者名 長田貴仁
タイトル The Panasonic Way
出版社 プレジデント社 2006年2月
価格 952円 税別

書評

この本では、テクノロジー・マネジメント、イノベーション・マネジメントという観点から、「松下電器の知」を探ることにより、「窮地は脱したが危機は続いている」(中村邦夫社長)と認識し、経営の品質を向上させ「21世紀に成功する製造業」のモデルを構築しようとしている松下電器を多角的に検証してみた。

松下電器という一社を対象にしてケースを書いた本ではあるが、競争戦略、組織論、国際経営、経営哲学、経営者論、などのアングルから日本の製造業のあるべき姿が見えてくる内容になっている。そして、堅苦しい企業経営の話を、できるだけ平易な文章により読み易くした。経営学で「ケース」という場合、事実をそのまま無味乾燥な表現手法で書いてあることが多い。だが、同書では、事実の重要性を認識しながらも、エンターテインメントを所々に入れながら筆者の提言も加えた。

原稿を書き下ろすにあたり、2005年6月から10月まで、インタビューや会見出席のため東奔西走し、中村社長をはじめ役員およびそれに準じる方々計14人に話を聞かせていただいた。さらに、他社の経営者の話や松下電器社員、電機業界関係者の「草の根」の声も参考にした。

目次

プロローグ 松下がトヨタを超える日
第1章  松下がソニーを超えた日
第2章  組織を壊し再生させる要諦
第3章  「聖域」にメスを入れる意義
第4章  「中小企業集団」の威力を発揮せよ
第5章  「ニート」も働きたくなる会社
第6章  ヒット商品を連発する仕組み
第7章  海外で勝つ「パナソニック」流
第8章  「製造業衰退論」に異議あり
第9章  「幸之助精神」の現代的解釈
第10章 「自治会長型」社長の気概