戦略不全の論理


著者名 三品和広
タイトル 戦略不全の論理
出版社 東洋経済新報社 2004年9月
価格 2600円 税別

書評

日本の企業は、高機能かつ高品質の製品を次々と世に送り出し、世界の市場を至る所で席巻してきました。にもかかわらず、個々の企業はさほど儲かっていません。それどころか、収益性は一貫して低下する傾向がもう40年も続いています。本書は、冒頭でこの点を論証し、これを経営戦略が機能不全に陥っていることに起因する深刻な問題と見なします。

日本企業はなぜ戦略不全に陥るのでしょうか。実は、日本企業はどこもが戦略不全に陥るわけではありません。中には持続的に高収益をあげるところもあります。同じ日本企業の中でも優劣を分けるのは、実は経営者、もっと言えば経営者の任期ということが私の研究を通してわかりました。低収益に甘んじる企業では経営者が4年や6年を周期として頻繁に交代し、高収益をあげる企業では経営者がそれこそ20年という単位で経営の舵を取る傾向にあるのです。ここに潜むロジックが、戦略不全の論理、すなわち本書の主題です。

目次

第 1 部 戦略不全の実態
第 1 章 日本企業の戦略不全症
第 2 章 データに見る戦略不全
第 3 章 ケースに見る戦略不全

第 2 部 戦略とは何か
第 4 章 演繹的マクロ戦略論
第 5 章 帰納的ミクロ戦略論
第 6 章 大局的判断の戦略論

第 3 部 戦略不全の背景と処方箋
第 7 章 経営戦略の 3要件
第 8 章 日本企業の経営者
第 9 章 戦略不全の処方箋