3分でわかる クリティカル・シンキングの基本

著者名 小川進 平井孝志 著
タイトル 3分でわかる クリティカル・シンキングの基本
出版社 日本実業出版社 2009年6月
価格 1400円 税別

書評

問題解決の基礎を正しく理解し実践する力を身に付ければ、人は大きく変わります。ベテランのビジネスパーソンをアッといわせるような提案ができるようになるだけでなく、日常生活から将来設計まで見違えるほどしっかりできるようになるのです。そのためには、“健全な思考”が重要です。

最近、ロジカル・シンキングやラテラル・シンキングといった思考法ブームが続いていますが、ビジネスパーソンや学生と話をすると「わかるけど、できない」といった声をよく聞きます。MECEやロジック・ツリーなどは、誰もが理解できるシンプルな考え方なのですが、使いこなせずに悶々としているのが実際ではないでしょうか。その理由は“健全な思考”をするための何かが欠けているからです。この“健全な思考”をするために必須となるのが、「クリティカル・シンキング」です。

「正しく考える」ロジカル・シンキングと「正しく発想する」ラテラル・シンキングと合わせて、クリティカル・シンキングは三位一体の思考法といえます。そして、その本質は「正しく疑う」ことです。「クリティカル」は「批判的」と訳されますが、否定的なニュアンスは含まれません。前向きに、建設的に「正しく疑う」ことをクリティカルと呼ぶのです。クリティカルに世の中の現象やロジック、構造を「正しく疑う」ことで問題解決力は格段に高まります。「正しく疑う」ことで結果は大きく変わるのです。「正しく疑う」ためには、難しい知識は必要ありません。しかし、多少の工夫が必要です。その工夫を身に付け、日々実践しなければなりません。つまり、「心構え」「疑うコツ」そして、「訓練」が大事なのです。そのことを腹の底から実感してもらうため、本書は次のような構成になっています。

「Part1 クリティカル・シンキングとは何か?」では、クリティカル・シンキングの本質に迫り、大事な7つの心構えを紹介します。「Part2 クリティカルに考えるためにロジカルを知る」では、ロジカル・シンキングの有効性をおさらいし、逆にその有効性ゆえの「落とし穴」を解説します。「Part3 クリティカルに考えるとは?」では、生きた現実に切り込んでいくことの難しさと、クリティカル・シンキングの意義とコツがわかります。「Part4 クリティカルに何をどう疑うのか?」では、実際に何をどのように疑えば、「正しく疑う」ことになるのかについてのヒントを見ていきます。「Part5 クリティカル・シンキング訓練法」では、日常生活の中でできる具体的な訓練法を紹介します。ぜひ「正しく疑い」ながら、楽しく読みすすめてください。

本書は10年ほど前に、著者のふたりが米・MIT(マサチューセッツ工科大学)の大学院に留学し、そこで家族ぐるみの付き合いをしていたことに端を発しています。その後、小川は大学教授として、平井は経営コンサルタントとして少しでも社会の役に立てるよう頑張ってきました。そんな中、ふたりはビジネスパーソンや学生に「問題解決の思考法」を説く必要性を痛感するようになり、今回の出版にいたりました。本書を通じて、クリティカル・シンキングを理解し、日常生活やビジネスで活かしていただければ著者としては望外の喜びです。

目次

Part1 クリティカル・シンキングとは何か?
Part2 クリティカルに考えるためにロジカルを知る
Part3 クリティカルに考えるとは?
Part4 クリティカルに何をどう疑うのか?
Part5 クリティカル・シンキング訓練法