税と配当落ち日の前後における株価および売買高の関係について -日本のデータによる検証-

要約

本論文では,2001年から2006年までのわが国のデータを用いて,配当税率やキャピタルゲイン税率が,配当落ち日の前後における株価動向や売買高にどのような影響を与えるかについての実証分析を行う.配当落ち日のプレミアムから配当の選好度の加重平均を推定したところ,税制等の変更・改正の前後において配当の選好度の加重平均が上昇している結果が示される.この結果は,税効果が存在することを支持するだけでなく,配当の選好度の加重平均が外国人投資家の選好度によって説明されることを示している.さらに,配当落ち日の前後において超過売買高が観察され,その超過売買高が配当利回りと正の関係を持ち,固有リスクや市場リスクと負の関係を持つ結果が示される.これらの結果は,動学的な顧客モデルから予想される関係と整合的であり,従って,配当落ち日の前後において外国人投資家による動学的な取引戦略が行われている可能性を示している.
JEL classification: G32; G35
キーワード:静学的な顧客モデル,動学的な顧客モデル,配当落ち日のプレミアム,売買高

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畠田敬

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