中小企業の医療機器産業への参入と新たな医療機器の社会的形成 —医工連携における行政・リエゾン組織・企業・大学を結ぶ新たな関係構築プロセス—

要約

 本論文は既存産業での産業部材を主に生産している中小企業が、医療機器産業へ参入し、リエゾン組織や大学、行政との関係を構築しつつ、新たな医療機器を形成した過程を、技術の社会的形成アプローチに基づいて詳細に記述したものである。そのプロセスを要約すると、既存産業に関わる諸関係と、行政の強いコミットメントは、新事業を始めるにあたって必要となる諸資源の調達には相当の貢献が見られたが、他方で、既存産業における経済的・社会的諸関係は、経営者のコミットメントも含めた経営諸資源の新事業への一定範囲以上の配分を妨げるとともに、既存産業との比較という形での評価基準を通して、新事業の評価を常に低下させてしまう傾向が見出された。

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原拓志

稲垣京輔

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