心臓外科医の熟達と育成 ― 小川恭一氏へのインタビューに基づいて ―

要約

 本稿は、優れた心臓外科医であり、多くの医師を育てた実績のある小川恭一氏に対するインタビュー を基に、外科医の熟達プロセスや人材育成のあり方についてまとめたものである。なお、ここでいう熟達とは、外科医としての能力が高まることを指している。
 小川氏は、1960年に神戸大学医学部を卒業、1965年に同大学院を修了した後、兵庫県立こども病院の心臓外科部長を経て、神戸大学医学部助教授に就任した。その後、兵庫県立循環器病センターで心臓血管外科を立ち上げるとともに、同病院の心臓血管外科部長・副院長を務め、兵庫県立こども病院院長、兵庫県立姫路循環器病センター院長、神戸赤十字病院院長を歴任し、現在は同病院の顧問として活躍されている。
 小川氏の教え子には、全国の病院において心臓外科部長を経験した医師が少なくとも13名、教授に就任した医師も2名おり、多くの優れた心臓外科医が彼の下で育っている。
 本稿は、小川氏自身の経験を中心に、心臓外科医に必要な能力、心臓外科医の熟達を促進する要因や育成のあり方について、小川氏の一人称の語り口で記述する。最後に、インタビュー結果に基づいて、「心臓外科医の熟達促進モデル」を提示し、病院における人材育成のあり方を議論する。

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松尾睦

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