高度技術システムの安全に関する一考察

要約

高度技術システムの開発、生産、販売、利用には多くの企業等が相互作用的に関わっており、その安全の形成はそれらの組織にとって極めて重要な経営問題である。本稿は、そうした問題意識に立って、高度技術システムの安全について考察するが、特にジェームズ・リーズンのスイスチーズ・モデルの通俗的な理解と、一般的に事故リスクの定義に用いられる定量的リスク・アセスメントの公式に潜んでいる前提が、競争やコスト削減の圧力下においてもたらすシステム開発上のバイアスについて論じる。本稿では、新幹線と航空管制の経験的データを用いて、そのバイアスの存在を示唆し、既存の安全に関わる議論の相対化を図る。

著者 PDFへのリンク

原拓志

PDFファイル

(779.9KB)