技術人材の育成-技能を把握する理論的枠組みについてー

要約

日本企業の育成過程は、学習者と熟練者が伴に働き優れた能力を伝える、OJTによる技能伝承の考えが定着している。把握困難な能力の移転を目指すが故に、やみくもにOJTを重ね、育成の実感を与えぬままに長い時間が過ぎるのが、多くの製造業の実情ではないだろうか。伝統芸能や単純な道具を巧みに扱う伝統産業は、技能の対象となる技や道具及び素材の変化は激しいとはいえない。一方、企業化した製造業の扱う生産技術や素材は、企業間の激しい生存競争と自然科学の進化によって、絶え間ない変化を続けている。技能を技術を巧みに扱う能力として捉えると、技術が変化するならば技能も変化するとして把握すべきで、育成を技能伝承の概念で捉えるこれまで考えでは、技術人材の育成に課題があるとするのが本研究の出発点である。

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門脇一彦

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