正義論から見た公正価値会計

要約

公正価値はFASBおよびIASBの積極的な推進によって,財務報告の測定基礎としての地位を確立した。しかし,公正価値の「公正」が何を意味するのかについては,会計基準においても,会計専門家の議論の中でも十分に検討されてこなかった。むしろ,「公正」の本来の意味を問わないまま,公正価値会計は普及してきたのである。しかし,「公正」とは会計用語ではなく,社会を構成する規範のひとつであるから,会計の範囲を超えて検討する必要がある。本稿では,ロールズの正義論を一つの基準として,公正価値会計における「公正」概念がどのように解釈されるべきかを考察し,会計の新しい可能性を探求する。

著者 PDFへのリンク

國部克彦

PDFファイル

(530.5KB)