國部研究室の指導方針

<学部>

▼國部ゼミの特徴

 國部ゼミは会計学のゼミですが、環境経営や企業の社会的責任(CSR)などの研究を中心に行い、必要な範囲で会計学も勉強します。したがって、会計学の高度な知識は必要ありません。卒論は会計以外のテーマで執筆する学生もいます。國部ゼミは、会計にはあまり関心は無いけれど環境問題や企業の社会的責任に関心のある学生や、会計士や税理士を目指しているけれど財務会計だけの勉強に飽き足らない学生に向いています(これまで多くの公認会計士試験の合格者が出ています)。
 國部研究室では、多数の大学院生も所属しており、大学院生から卒論指導などを受けることもできます。また、MBAの國部ゼミ出身者で作る「神戸CSR研究会」も運営しており、希望者は社会人と一緒に研究することもできますし、卒業後も研究会を通じて活動することができます。
 國部ゼミの卒業生は多くは企業へ就職します。製造業、商社、金融など多様な職種へ就職します。特に、OB会などは組織していませんが、國部研究室は卒業生には常に開かれており、卒業後も何かあればいつでも訪ねてこられるようになっています。また、大学院進学を希望する学生については、学部時代から大学院進学を想定した指導を行います。

▼令和2年度研究主題

テーマ:企業経営と社会的価値創造
企業経営は財務価値の創造を目的としているように見えますが、実は社会的価値創造が重要で、社会的価値を創造するから、財務的な価値が得られるという構図になっています。この点は、通常の経営学や会計学では十分に議論されていませんが、私たちの生活の視点から企業を見ればそれが分かるはずです。國部ゼミでは、この問題を私たちの身の回りにある社会的課題の解決という視点からアプローチします。座学だけでなく、実際に行動してみて、どのような反応が社会から得られるのかというフィールドリサーチやアクションリサーチの側面も重視したいと思います。

▼研究方法

企業の社会的責任に関する文献を輪読した後で、実際に企業が、どのように社会的課題に対して活動しているのかを学びます。社会的な価値創造に向けた活動をフィールドリサーチもしくはアクションリサーチで研究し、卒業論文に結びつけるようにしたいと思います。企業やNPOと協力して実践的な知識を身につけることも重視します。3年前期のテキストとしては、國部克彦他『創発型責任経営』(日本経済新聞出版社)、國部克彦『CSRの基礎』(中央経済社)等を使用する予定です。

▼開催頻度

隔週(ただし別途サブゼミの時間を設ける予定)

▼その他

2020年4月にスタートする神戸大学バリュースクール(V.スクール)と連携して、実際に社会的価値創造を行うにはどうすれがよいかを学ぶことも計画しています。社会に働きかけることに関心のある学生を希望します。これまで、早稲田大学(谷本ゼミ)、大阪市立大学(向山ゼミ)との交流ゼミをしてきましたので、来年度も実施する方向で検討しています。

11月11日(月)2限に三木記念館演習室で公開ゼミを開催しますので、関心のある方は見に来てください。その日の昼休みに同じ場所で説明会を開催します。

<過去の卒論テーマ(一例)>

  • 大阪国際空港と地域の共生
  • 環境に対する消費者の意識と行動
  • 原子力関連事業者のリスク管理
  • 森林の活用と森林認証制度の有効性
  • シャープの温暖化対策について
  • 太陽光発電市場と政策の関わり方の分析
  • 鉄鋼業界における企業の社会的責任
  • 店舗における空調サービスに関する研究
  • 不動産ビジネスとリスク管理
  • 粉飾決算~監査人による防止策~
  • B to Bの環境教育~環境配慮型パソコンを売るために~
  • CSRがもたらす企業評価-CSRと財務業績-
  • 温室効果ガスにおける排出権取引の現状と課題
  • 環境配慮型業績評価
  • 企業による環境影響の統合化手法の活用に関する現状分析
  • 社会的な資金の流れを作り出すために~個人資金を活用する方法~
  • 第三者によるCSR報告書の信頼性の向上~CSR報告書の保証~
  • 中国におけるCSRと社会問題
  • トヨタ自動車の社会的責任
  • ボードリヤールを通して見る消費のシステム

<大学院>

▼研究テーマと方法

 大学院では、社会環境会計、環境経営・会計、企業の社会的責任、会計の社会的分析などの研究テーマを希望する学生を受け入れます。 財務会計、管理会計の区分にこだわらず、企業と環境・社会の問題を分析します。
 採用する方法論は、大きく分けて、制度論やアクターネットワーク理論のような社会を構成する制度やネットワークを重視する社会学的方法論と、 環境経営の意思決定への役立ちを目指す工学的方法論の2つが中心です。経済学的な合理的行動モデルは、どちらかといえば中心ではありません。 しかし、実証研究など両者を融合するような視点は、常に対象として取り上げます。

▼指導方針

 博士課程前期課程で就職する学生、後期課程で博士号取得を目指す学生の2つのタイプを分けて指導します。
①前期課程修了後就職する場合
 短期間で結果の出るテーマを中心に指導します。将来、コンサルタントとして活躍したい希望がある場合は、できるだけ実務に密着した課題で、将来性のあるテーマを選定し、指導します。
②後期課程へ進学し、博士号取得を目指す場合
 大学教授などの研究を職業とすることを目指すと想定して、前期課程の間は、できるだけ基礎的で発展性のあるテーマで指導します。後期課程に進学後は、 独創的な博士論文を執筆できるだけでなく、博士論文後も活用できる豊かな研究資源を創造できるように、学生と一緒に考えてゆきます。

國部研究室のメンバー

博士課程後期課程

(D3) 大田倫子
(D3) 千賀喜史
(D3) 川村明世
(D3) Shahid Ullah
(D3) 阿部健人
(D3) QuY Trong
(D3) Nurhayati Soleha
(D3) 長野亘孝
(D2) 大野寛人
(D2) 孫琦
(D2) 翁怡婷
(D2)オヤハン

博士課程前期課程

(M2)Lisa Wijaya
(M2)Bahare Yousefalizadeh
(M2) 勝部一輝

博士課程修了者

大西 靖(関西大学教授)2005年修了 博士(経営学)
東田 明(名城大学教授)2006年修了 博士(経営学)
堀口真司(神戸大学准教授)2006年修了 博士(経営学)
川原千明(新日本監査法人)2008年修了 博士(経営学)
安藤 崇(千葉商科大学講師)2010年修了 博士(経営学)
岡田 斎(広島経済大学教授)2010年修了 博士(経営学)
梶原 晃(久留米大学教授)2010年修了 博士(経営学)
篠原阿紀(桜美林大学講師)2011年修了 博士(経営学)
湊 則男(元マツダ株式会社)2012年修了 博士(経営学)
鈴木 新(就実大学准教授)2012年修了 博士(経営学)
北田皓嗣(法政大学准教授)2012年修了 博士(経営学)
Mohammad Badrul Haider(関西学院大学准教授)2012年修了 博士(経営学)
天王寺谷達将(岡山大学講師)2013年修了 博士(経営学)
嶋津邦洋(立正大学准教授)2013年修了 博士(経営学)
藤近雅彦(立命館大学非常勤講師)2014年修了 博士(経営学)
中澤優介(愛知学院大学講師)2015年修了 博士(経営学)
野口豊嗣(神戸大学経営学研究科研究員)2016年修了 博士(経営学)
Tazul Islam(Bangladesh Institute of Bank Management, Associate Professor)
       2017年修了 博士(経営学)
岡田華奈(大阪経済大学講師)2017年修了 博士(経営学)
金宰弘(関東学園大学講師)2017年修了 博士(経営学)
中尾悠利子(公立鳥取環境大学准教授)2017年修了 博士(経営学)
増子和起(就実大学講師)2018年修了 博士(経営学)
呉綺(京都先端科学大学講師)2018年修了 博士(経営学)
王睿(同志社大学助教授)2019年修了 博士(経営学)
謝江龍(神戸大学学術推進研究員)2019年修了 博士(経営学)

品部友美(あずさ監査法人)2002年修了 修士(経営学)
坂井浩介(イオン株式会社)2006年修了 修士(経営学)
朱カカイ(株式会社ダイヘン)2006年修了 修士(経営学)
銭 春児(中国在住)2006年修了 修士(経営学)
田中利太(農林中央金庫)2009年修了 修士(経営学)
光井雅俊(パナソニック株式会社)2010年修了 修士(経営学)
馬 菁(塩野義製薬株式会社)2011年修了 修士(経営学)
河村 望(富士通株式会社)2011年修了 修士(経営学)
龔 文斌(三信電気株式会社)2011年修了 修士(経営学)
賈 克娜(株式会社西松屋チェーン)2012年修了 修士(経営学)
美濃島広人(株式会社クボタ)2013年修了 修士(経営学)
丁懿  2019年修了 修士(経営学)
姜真和 2019年修了 修士(経営学)



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