計量的モノグラフ」の方法論的定位

要約

経営学における主要な分析方法として、量的方法と質的方法がある。この両者はマルチメソッドという位置づけのもとで、方法論としては現象を多面的に把握するための補完的な存在とされて久しい。しかし、本稿ではこの二つの分析方法には、未だ社会的現実を捉える認識論レベルでの差異(本質主義と構成主義)が存在し、それらが一緒くたに議論されることによる混乱状態が存在すると捉え、従来の方法論が看過してきた論点を整理する。さらに、これまでの混乱状態のもとで看過されてきた分析方法として「構成主義‐量的方法」のアプローチを見出し、具体的に社会学の計量分析において萌芽的に取り組まれている「計量的モノグラフ」という新たな試みを方法論的に定位することによって、量的方法と質的方法の葛藤を克服するための代替案を示すものである。

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松嶋登

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