学部ゼミ

神戸大学経営学部ゼミナール -ベンチャーファイナンス研究-

研究主題

中小企業やベンチャー企業の資金調達・投資・ペイアウト活動について、企業金融理論における位置づけを学習するとともに、わが国の中小企業金融およびベンチャー・ファイナンスが抱える課題や今後の金融・証券市場の改革の方向性を実証的に研究することを目的としています。
具体的には、概ね下記のテーマを研究対象とします。①ベンチャー企業や中小企業の資金調達源(資本構成の決定)、②ベンチャー・キャピタル、③ビジネス・エンジェル、④新規株式公開市場、⑤プライベート・エクイティー(MBO/MBI/LBO)、⑥中小企業の資金調達と銀行、⑦銀行の中小企業向け融資と信用保証制度、⑧新規開業企業の資金調達問題、⑨新規開業企業の成長と生存、⑩起業家タイプとパフォーマンス、⑪ソーシャル・アントレプレナー、ソーシャル・インベストメントなどです。
ゼミの最終課題である卒業論文ですが、ファイナンス以外であっても企業家活動(アントレプレナーシップ)に関連するテーマであればかまいません。ゼミでは、アントレプレナーシップに関して幅広いテーマをとりあげ学習します。

研究方法

【2年次のゼミ決定後】
ゼミ決定の11月からゼミ活動が開始となります。3年次のゼミ開始に向けて、基礎知識の習得をはかります(3回生と4回生による指導プログラムがあります)。3年生のビジネスプラン発表会や4年生の卒業論文発表会などのゼミ行事に参加します。

【3年次】
毎週のゼミでは、下記の2.コーポレートファイナンスを2章と、1.アントレプレナーシップもしくは3.計量経済学を1章の合計3章を議論します。

  1. 企業家活動(アントレプレナーシップ)の知識習得
    ウィリアム・バイグレイブ、アンドリュー・ザカラキス『アントレプレナーシップ』日経BP社、2009年。
  2. コーポレート・ファイナンスの知識習得
    リチャード・ブリーリー、スチュワート・マイヤーズ、フランクリン・アレン『コーポレート・ファイナンス(上)』日経BP社、2007年。(原著の第8版の翻訳)
    (Richard A. Brealey, Stewart C. Myers and Franklin Allen, Corporate Finance (Eighth Edition), Irwin MacGraw-Hill, 2006.)
    各章のクイズと練習問題を解きながら、1章ずつ学習していきます。
  3. 計量経済学の知識習得
    計量経済学の基礎知識を習得する。あわせて統計ソフト(STATA)が使えるようにマスターする。
    Jeffrey M. Wooldridge, Introductory Econometrics: A Modern Approach (Fourth Edition), Thomson South-Western, 2009.
  4. 他大学ゼミとの交流会における論文発表
    6月(作成論文の計画の発表)と12月(論文の最終発表)に開催し、7つのゼミで研究交流を行います。
    この他、ISFJ(日本政策学生会議)の論文発表にも参加します(各学年の希望を聞いて参加するかどうかを決定)。
    http://www.isfj.net/
  5. ビジネスプランの作成
    ビジネスプランの作成に必要な基礎知識を習得する。3年次の最後(3月初頭)にビジネスプランの発表会を実施します。
    インテグラートのビジネスプラン作成ソフト「ディシジョンシェア」をマスターする。同社コンサルタントの小川氏より指導を受ける。
    http://www.integratto.co.jp/

【4年次】

  1. 企業分析の知識習得とエクセルの完全マスター(関数機能と計量分析)
    大津広一『企業価値を創造する会計指標入門』ダイヤモンド社、2005年と、大津広一『戦略思考で読み解く経営分析入門』ダイヤモンド社、2009年。
    Krishna G. Palepu and Paul M. Healy (2007), Business Analysis & Valuation: Using Financial Statements (Fourth Edition). South-Western Pub.
    公開企業のデータを用いた実践。各自1社を選び分析を行う。企業分析の結果をレポートにまとめ、全員で投資銘柄を議論し、ミニ株投資を実践する
  2. 企業価値評価(バリュエーション)の知識習得
    マッキンゼー・アンド・カンパニー他『企業価値評価(上)(下)』ダイヤモンド社、2006年。
    McKinsey & Company, Tim Koller, Marc Goedhart, David Wessels (2005), Valuation: Measuring And Managing The Value Of Companies (Fourth Edition). John Wiley & Sons.
    公開企業のデータを用いた実践。
  3. コンサルティングレポートの作成
    企業分析や企業価値評価の知識を元に、3回生と4回生を縦割りで3つのグループに分け、レポートの作成に取り組みます。コンサルティングレポートのプレゼンテーションを企業経営者の前で行い、意見交換を行います。分析対象先の企業は学生自身が選び、受け入れていただけるかどうかの企業側との交渉も、学生自身で行います。
  4. アントレプレナー・ファイナンスの知識習得と総復習
    リチャード・スミス、ジャネット・スミス『アントレプレナー・ファイナンス』中央経済社、2004年。
    (Richard L. Smith and Janet Kiholm Smith, Entrepreneurial Finance (Second Edition), Wiley, 2003.)
    上記のテキストを使って、アントレプレナー・ファイナンスの総復習をします。コーポレート・ファイナンス、リスク分析、バリュエーション、リアル・オプションなど、2年間で学習したことの総復習となります。
  5. 卒業論文の作成
    4年次のかなりの時間が、卒業論文作成にあてられることになります。4月のゼミ開始以降、毎月途中経過の報告をしてもらうことになります。
  6. 慶應大学商学部の金子隆ゼミとの学術交流(毎年9月に開催)
    両ゼミナールの3年生と4年生のゼミ生が一緒になって、さまざまなプログラムを考え、交流を行います。
    http://www.fbc.keio.ac.jp/~kaneko/
  7. 立命館大学経営学部の樋原伸彦ゼミとの学術交流(毎年10月に開催)
    両ゼミナールの3年生と4年生のゼミ生が一緒になって、さまざまなプログラムを考え、交流を行います。
    http://research-db.ritsumei.ac.jp/Profiles/30/0002957/profile.html

ゼミ交流会

交流ゼミ

テーマ

交流会では、各大学で1つもしくは2つのテーマ について論文を準備し、それをもとにして議論を行います。1つのテーマでエントリーしていただいてもかまいませんし、学生を2つのグループに分けて2つのテーマでエントリーしていただいてもかまいません。テーマは何でもかまいません。学生の興味に応じて、テーマを設定していただくことが優先です。

交流会の詳細については、下記も参照して下さい。
http://kouryuukai.multiply.com/

交流の方法

  1. 年2回の開催(6月と12月を基本とする)を予定。6月の交流会は、12月の本番(論文発表)に向けての準備状況を報告する場、ゼミ間の交流を図る場として位置づけます。ただし、6月の交流会については学生の負担のこともありますので、参加については各ゼミの判断に任せることとします。
  2. 交流会で取り扱う具体的なテーマについては学生が設定する。交流会当日は、事前に各報告に対するコメンテーターを決めておく。
  3. 交流会への参加ゼミは報告に当たって論文を作成し、事前に交換の上、当日議論する。