過去の神戸大学MBA公開セミナー

第34回:2019年7月10日(水)18:30~19:45

都市型駅ビルが主導するアパレル・エコシステムの変革:デパ地下風ファッションフロアの創作

7月の神戸大学MBA公開セミナーでは、本学MBA修了生で、2018年度加護野忠男賞受賞者の舟本 恵氏が、受賞論文のエッセンスを語ります。

舟本氏はJR西日本のショッピングセンター(SC)カンパニーに所属し、駅ビルSCの開発・運営を担っていますが、同カンパニーの売上の大部分を支えるアパレル産業が長期低迷していることに危機感を抱き、本研究に着手しました。

我が国のアパレル市場では、消費者価値観の変化により、消費者ニーズの多様化・細分化、トレンドの小粒化・短サイクル化の同時進行が起きています。フォロアー層に対する画一的商品の大量生産・大量販売を前提に構築されてきた既存アパレル・エコシステムは整合性を失い、1991年には15.3兆円あったアパレル市場の売上高は、2017年には9.2兆円となりました。唯一気を吐いていたZARAやH&Mといった海外系ファストファッションも、既に売上のピークは過ぎたと言えます。

「長期低迷する我が国のアパレル産業が、持続的に発展するために必要な新たなアパレル・エコシステムとはどのようなものなのか。また、それはどのように実現できるのか。」 本研究では、このリサーチ・クエスチョンについて、まず「デパ地下の集客力の源泉」と「持続的発展を可能とするビジネス・エコシステムの要件」の2つの視点から議論します。次に、この議論を通じ、あるべき新たなアパレル・エコシステムの仮説を導き出したうえで、複数のアパレル関連企業へのインタビューを通じ、その実践における課題を明らかにします。そして最後に、この課題を解決するために、都市型駅ビルが果たすべき役割を明らかにし、都市型駅ビルが主導する新たなアパレル・エコシステム「デパ地下風ファッションフロア」を提言します。